SFは意外と萌える
実はこの半年ばかり、私の中で地味にSFがブームです。
きっかけは機本伸司さんの『神様のパズル』という作品を読んだことでした。
全く記憶になかったのですが、この作品って2008年に実写映画化されていたんですね。
公式サイトに飛んでみたら、主人公君が何故か原作にはなかった筈の「ロッカー」という設定になっているようで、その瞬間に「絶対見ねえ!」と心に決めましたが(笑)。
1秒も見ずにこんなことを言うのも何ですが、原作の良さが全く表現されていない気がしてなりません。
きっと萌えも霞みます。
「萌え」なんて単語が出るとライトノベルっぽい感じですが、『神様のパズル』はライトノベルではありません。
人為的に生み出された天才少女が主人公の男の子を振り回しながら、宇宙とそこにいるであろう神を作ろうとするというお話なのですが、その天才少女の精神活動に激しく萌えました(笑)。
今本が手元にないのでちょっとうろ覚えですが、意図的に生み出された存在であるところの天才少女は自分の存在に対して複雑な感情を抱いていて、神を作って「どうして自分がここにいるのか」訊いてみたいというようなことを言っていたのですが、そのために神を作ろうとするところがとってもツボでしたね。
宇宙だの神だのを本当に作るのは無理なので、コンピューター上のシュミレーションという形で作るとはいえ、その人間にしか持ち得ない発想や途方もないエネルギーが素晴らしいです。
私は何故か全存在をかけて何かを探求しようとする人の意志やそれに付随するエネルギーに心惹かれる性質なので、科学が発達しているおかげで「人間とは何か」という根源的な問いかけをせざるを得ないような世界観を描くことが多いSFは結構ツボですね。
『神様のパズル』が小松左京賞作品だったので、ちょこちょこ他の受賞作を読んでいたりするのですが、2009年度で休止されてしまったのがとても残念です。
今のところ一番好きなのは『神様のパズル』ですが、『火星ダーク・バラード』とかも結構好きでしたし、この賞がもっと続いていたらより多くの興味深い作品に出会えた気がしますから。
理系教科が大の苦手で、大学入試では迷わず文系教科のみの3教科受験を選択した私ですが、生意気にもその世界観でどんな理論が使われているのかを見比べるのも結構面白いなあと思っていたりもします。
作品によっては軍の機体や銃火器の能書きがずらずらと書かれたりして、ミリタリー知識がほとんどない私にはちょっと読み難かったりもしますが、役に立たない知識が増えたりして楽しいですね。
少し前まで放送されていた『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』というアニメにも出てきましたが、「核爆弾を成層圏で炸裂させると、テレビやパソコンは勿論車や原付も動かなくなる」とか(笑)。
何でも「上空の大気が放射化されて、強力な電磁パルスが降り注ぎ、結果電気を使う機械にとっては雷に打たれたのと同じ状態になる」そうで。
「核保有国の間で、宇宙空間での実験を禁止する条約が交わされているのはこのため」なのだそうです(今読んでいる上杉那郎さんの『セカンドムーン』に書いてありました)。
一介の民間人にとっては何の役にも立たない知識ですが、SFを読んでいるとこんな知識がちょっと増えます。
知識が増えるのはいいことですよね、はい。