シンジテミル
タイトルの言葉は『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』という映画の主題歌のタイトルですね。
歌っていらっしゃるのは、アニメ・『マクロスF』でシェリルちゃんという女の子の歌を担当されていたMay'nさんで、伸びやかで力強い歌声が相変わらず素敵です。
この歌、「ねえ 君のこと 信じていいかな」という弱気な詩で始まるのですが、この歌に歌われている人は多分呼びかけている相手のことを信じるだけの強さを持った人なのだと思います。
「もし 間違いを それでも 許し合えたら 憎しみさえ 捨てられるはずなのに」等の詩を見ていると、先の引用は只の疑問文と言うより付加疑問文な気がしますから。
The Present Timeの部屋の『彼の彼女はヴァイオリン』に出てくる『だいちゅう』君は、まだそんな風に人を信じられる段階まで行ってませんが、先程引用したようなことは考えている気がしますね。
彼は彼なりに葛藤しながら頑張ろうとしているのだと思います。
主人公ちゃんは図らずも『だいちゅう』君の心をほんの少し開かせることに成功した訳ですが、何てことのないあの小説がコバルトさんの短編小説新人賞で「もう一歩」という評価を得られたのは、多分ある言動が意図とは全く違った結果をもたらして人間関係が変わっていく様を描いたからなのでしょう。
私自身はああいった経験はないのですが、解釈はコントロールできないものなので、世の中にはこういうこともあるんじゃないかと思って書いてみました。
全力で言葉を届けようとしても届かないことも多いと思いますが、心ならずも放った言葉が届くこともまたあるのだと思います。
昔生徒にかけた励ましの言葉を当の先生はすっかり忘れていたのに、生徒さんの方はその言葉を支えに頑張り続けていて、後に先生にお礼を言ったなどという話を妹から聞きましたしね(笑)。
その生徒さんが知ったらさぞかしショックでしょうが、言葉の重さというのは実際その程度だったりするのでしょう。
だからと言って別に「誰も何も信じるな」などと言うつもりはなく、「言葉の重さを見極めた方が賢く生きられたりしますよ」という話です。
ぺらっぺらの厚みも重みもない言葉でもそれが支えになることもある訳ですから、問題なのは言葉の重さ云々と言うより、それが本人にとってプラスになるかどうかなのでしょうけどね。
信じることは基本的にいいことだと思いますが、それは必ずしも良い結果をもたらさないものなので、逆に利用してやろうという悪魔の心意気を持っていない限り、あまり信用が置けなさそうな人には近付かないことをオススメします。
「年寄りの助言だ。聞いておいた方がいい(by 『Xenosaga』のジギーさん)」ですよ。
尤も、私はまだ年配の女性という訳ではないですが(笑)。
さて、それはさておき『彼の彼女はヴァイオリン』では「対物性愛」を「自己愛の発露」と捉えていますが、あれはあくまで私の勝手な解釈に基づくものなので、学問的根拠に基づいて書いた訳ではありません。
お気を悪くされた方もいらっしゃったら、無知と無礼を謹んでお詫び申し上げます。
一応調べようとはしたのですが、その手の本が手近なところで見付からず、ネットで検索しても大した情報がなかったので、自分なりの解釈で書かせて頂きました。
まあ、多分きちんと調べていても敢えて無視したと思いますが(笑)。
学者ならともかく、主人公は女子高生ですしね。
「虐待」や「人に愛情を持てない」といった断片的な情報を繋ぎ合わせて組み立てる物語の落とし所としては、「自己愛の発露」辺りが適当だと思った訳です。
と言うか、私が他に思い付きませんでした(笑)。
意外性のない結論で何ですが、話をまとめるにはああ解釈するのが手っ取り早かったんですよね。
何しろページがありませんから。
長編だとあまり気になりませんが、短編だとページの制約がキツイです。
今は忙しくてなかなか長編を書けないので、ネタが出てきたらまた短編でも書きたいところですが、残念ながら今のところそのネタがないのでした。