城平京さん原作の『虚構推理』というアニメを毎週楽しみに見ています。
この方、アニメにもなった『スパイラル~推理の絆~』という漫画の原作を手掛けていらしたので、以前から存じ上げていましたが、あの時はストーリーが進むにつれて、ミステリーのジャンルから離れた作風になっていった記憶がありますね。
『虚構推理』も「推理が真実かどうかは問題ではなく、相手をもっともらしい説明で納得させることが目的」だったりするので、ミステリーと呼んでいいのかよくわかりませんが、面白いです。
片目と片足を代償に怪異達の知恵の神となった琴子ちゃんという女の子と、不死身にして「未来を自分の望むものに決定できる」という力を持つ九郎さんというお兄さんの二人が怪異達から依頼を受けて、事件を解決していくという風変わりな物語なのですが、真相は毎回極めて単純なもので、前述の通り「人を納得させる説明をすること」が主な目的となっています。
まあ、様々なミステリー小説で探偵が披露する推理も、「もっともらしく聞こえるように、都合良く物語を組み立てているだけに過ぎない」と言われればその通りな気もしますし、解釈によって推理が二転三転するミステリーなんて、もう何が事実なのかよくわからないまま終わったりすることもありますしね。
私もミステリーを書いた経験があるので、探偵が推理を披露するシーンでは、私が考えた事実を彼等に語らせましたが、中には敢えて探偵に真相を語らせないなんて作家さんもいるのかも知れません。
その場合、偽りの真実を提示する限り、公言しなければそうとはわかりませんし、私達は知らず知らずの内に偽りの真相を知らされて納得しているということになりますね。
ミステリーにおいて、本当に事実を知っていると断言できるのは、作者ただ一人なのでしょうから。
『虚構推理』は、ついそんなことを考えてしまう物語だと思います。