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妖怪界のレジェンド

先日まで妖怪を題材にした小説を書いていて、妖怪学関係の本を何冊か読んでみたら、民俗学者の柳田国男さんと言わずと知れた有名漫画家の水木しげるさんについて言及している本が多く、「この人達、妖怪学においてレジェンド級の扱いなんだなあ」としみじみ思いました。

 妖怪を題材にしたミステリー小説を書いておられる京極夏彦さんも対談やインタビューで登場しているケースがちらほらあって、もう何十年かしたらレジェンドの仲間入りを果たしそうな感じですね。

程度の差はあれアカデミック方面でのご活躍が目立つお二方と違って、漫画家さんでさらっとレジェンド入りを果している水木しげるさん、凄いなあと思います(まあ、私が知らないだけで水木さんが関わった妖怪の専門書も多いのかも知れませんが)。

水木さんの功績は様々な妖怪(『ゲゲゲの鬼太郎』にはオリジナルの妖怪も登場するそうなので、そこには賛否があったりもするらしいですが)の存在を広く人々に知らしめたことにあるようですが、多分日本に生まれ育った人で『ゲゲゲの鬼太郎』を知らない人はいないでしょうし、レジェンド入りするに相応しい偉大な人に違いありません。

今タイムリーにAbemaTVさんで水木さんの奥さんが主人公の連続テレビ小説・『ゲゲゲの女房』が無料で見られるので、評判の良さを知った時にはかなり物語が進んでしまっていたためにリアルタイムで見損なった私は早速一話から見始めて、今三十二話まできました。

ドラマである以上、多かれ少なかれ脚色されているのでしょうが、風邪を引いた叔母を心配した布美枝(ふみえ)さん(主人公で、当時はまだ子供)が叔母を見舞うために6㎞の道のりを一人で歩いたり、貸本屋のおばさんが見ず知らずの置き引きの人に情けをかけてあげたりする人の優しさが温かくて、涙なしには見られません。

出会ってから五日で結婚して、一緒に暮らし始めるというスピード結婚だった水木さんと布美枝さんが、少しずつお互いを理解して、支え合える夫婦になっていく過程もとても素敵ですね。

「水木さんの渾名が『ゲゲ』なのは、子供の時に舌が上手く回らなくて『シゲル』を『ゲゲル』と言っていたから」という、昔NHKでやっていた『のんのんばあとオレ』という水木さんの自伝を原作としたドラマで見たネタも出てきて、ちょっとニヤリとしたりもしました。

子供の時には『ゲゲゲの鬼太郎』のアニメも見てましたし、水木さんには随分お世話になりましたね。

以前テレビで生前の水木さんのお姿を何度か拝見したことがありますが、インタビュー中に寝てしまったり、「一番好きな妖怪は?」と訊かれて、「一反木綿だね。ふわふわその辺に浮かんでるだけで、別に悪さをする訳でもないし」と答えていらしたことを今でもよく覚えています。

妖怪達の生みの親と言うより、仙人めいた穏やかな風貌のおじいさんでした。

今はあちらで妖怪達と楽しく過ごされているのでしょうか。
 
そうだといいなと思います。



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