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名将の器

只今『ブレイク ブレイド』という劇場版アニメが某所でネット配信されています(以下ネタバレありますのでご注意を)。

一言で言うと巨大ロボットが出てくる戦争物で、全6部作という大作なのですが、4章まで話が進んで俄然面白くなってきました。

4章の見どころは、何と言っても名将のおじ様達のバトルですね。

クリシュナ王国(主人公陣営)のバルドさんとアテネス連邦(敵陣営)のボルキュスさんは互いに対照的なタイプなので、その戦いはなかなか興味深かったです。

バルドさんは慎重派の愚直な性格、ボルキュスさんは戦闘狂の残忍な性格なので。

さてその戦い方ですが、ボルキュスさんは部隊を三つに分けて、真ん中に主力を置き、バルドさんの部下が突っ込んできても両翼の部隊には何もさせず、尚且つ主力の6機で20機の敵を撃破してのけました。

加えてバルドさんの部下の死体を晒し者にすることで、バルドさんの部隊の士気は急降下。

圧倒的な戦力差を見せ付けられた上に、動けば両翼から挟撃される状況で知人の惨たらしい死体まで見せられたら、いかに戦うのが仕事の軍人さんでも戦意喪失しようというものです。

これは全てボルキュスさんの作戦でした。

「人は飢えと恐怖には耐えられない」ということで、「敵とはいえそんな残酷な真似をするのは……」と言う部下を無視して搭乗者をロボットごと解体させていました。

人道的にはどうかと思いますが、自軍の被害を最小限にして敵を打ち破ることを優先した結果なので、職業軍人的には正しい行動なのでしょう。

事実ボルキュスさんの部隊は生還率が高いそうで、部下には信頼されているらしいです。

死なずに帰れるに越したことはないですが、私だったらバルドさんの下で働きたいですけどねー。

そのバルドさんですが、流石の名将も圧倒的な戦力差と不利な陣形、ダダ下がる士気を前に有効な策を打ち出すことはできなかったようで、全軍に突撃を命じただけでした。

しかしなかなか動かない部下達にあくまで「全軍突撃」を命じ、戦う意志を示し続けたバルドさんに部下達も徐々にやる気を出して、「仲間の亡骸を取り戻そう!」と全軍で突撃していましたよ。

おかげで少なからず被害が出たようですが。

敵は棒立ちでバルドさん達が突っ込んでくるのを待っている状態でしたし、バルドさんの方では別働隊を動かして奇襲をかける手筈になっていたので、別働隊が来るまで待てば被害を抑えられたのではと思いますが、あのままだと攻撃される前に部隊が崩壊しかねなかったので、やはりバルドさんの判断は正しかったのでしょう。

バルドさんはあくまで奇襲のための囮だった訳ですから、ばっちり敵を引き付けておかないといけなかった訳ですし。

まあ、バルドさんの愚直な性格も手伝っていたとは思いますけどね。

あの人なら、勝てないにしてもとりあえず突っ込みかねない気がします。

その一本気な性格は好感が持てますが、突っ込むだけ突っ込んで「持たせろ!」とか無茶言うのはかなり部下泣かせな気が(笑)。

それでも「よく耐えてる」と敵に言わせる程健闘した部下の皆さんは凄いです。

やはり士気が上がっていたおかげでしょうか。

突っ込んでくるバルドさんを見て、ボルキュスさんが「味方の恐怖を怒りに変えた」と言っていましたが、バルドさんもボルキュスさんとは違う形で人心をコントロールしていた訳ですよね。

やはり名将は知略だけでなく、人心操作術にも長けているものなのだということを学ばせて頂きました。

 

 

ちなみにその後ですが、別働隊として動いていた主人公がバルドさんの元に駆け付け、ボルキュスさんは撤退して行きました。

しかし超高性能ロボで単騎で突っ込んできて、あっさり敵を撃退というこのお手軽感は何とかならないものでしょうか。

せっかくおじ様達が知略と人心操作術を駆使して戦っていたのに、主人公のおかげで水を差された感じです。

どうせなら『フルメタル・パニック!』の相良崇介君のように、「圧倒的な性能差がある高性能ロボットを機体の特性を活かして撃破する」という頭脳的戦いを見たいものですが。

機体の性能に任せて力押しで敵を倒すロボット物なんて、それこそいくらでもある訳ですし。

まあ、説明がそれなりに必要になるのでアニメではなかなか難しいでしょうし、そもそもこの作品が目指しているのはそうしたものとは違っているのでしょう。

そちら方面では別のロボット物に期待することにします。






 


 

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