あの人、余所の作品の人に似てる
キャラクターが余程奇抜な外見的特徴を備えていないと往々にしてあることですが、最近『ブレイクブレイド』という漫画原作のアニメに出てくるジルグさんが、『されど罪人は竜と踊る』のガユスさんに見えて仕方がありません。
共通点は赤毛眼鏡(ちなみにジルグさんは長髪ですが、ガユスさんは短髪っぽいです)くらいしかないものの、目の色もジルグさんが緑でガユスさんが青と近く、絵の系統も近い方なので、かなりそっくりに見えます。
まあ、ジルグさんはかなり性格が捻くれているのに対し、ガユスさんはそれなりにいい人だったりするので、表情は随分違うのですが。
しかもジルグさんは素顔を見た女性が一瞬言葉を失くす程の美形キャラ設定なのに対し、ガユスさんは悪くはないけれどずば抜けて良くもない顔立ち(笑)だったりします。
顔の良さ設定に随分差があるのにそっくりに見えるというのも面白い話ですが、美形かどうかは描き手さんの相対評価で決まるものですからね。
いや、別に『ブレイクブレイド』の原作者さんを貶しているつもりはないのですが(汗)。
ところでそのジルグさんですが、実は私が『ブレイクブレイド』で一番お気に入りのバルドさんという将軍の一人息子さんだったりします(以下ネタバレありますので、ご注意下さい)。
しかしこの親子に会った主人公が親子だと気付かない程に、容姿も性格も全く似ていません。
バルドさんとジルグさんの共通点と言えば、「眼鏡を掛けていること」、「軍人であること」、「男性であること」くらいです。
とはいえ、バルドさんはサングラス派でジルグさんは眼鏡派。
いかにも軍人らしいいかついバルドさんに対し、ジルグさんは軍人と言うより文人っぽい雰囲気の人です。
おまけにバルドさんは部下の死に際して「すまない」と詫びたり、戦死した部下の墓前に花束持参で登場したりする人ですが、ジルグさんは訓練中に訳もなく仲間を殺して投獄されていたりしますし。
ジルグさんが仲間を殺した理由については少なくともアニメでは語られていなかったのですが、主人公にぶちのめされた挙句に「親父を超える将軍になれ!」と言われて人間が随分マシになっていたところを見ると、大方父親であるバルドさんへの反発が原因だったのでしょうね。
ジルグさんは大変優秀な軍人だったとはいえ、それでも「父親と同じような立派な軍人」になることを期待されるのは煩わしかったり、プレッシャーだったりしたのだろうと思います。
仲間を殺して投獄された時、彼は周囲の期待を裏切っただけでなくバルドさんの顔に相当な泥を塗った訳で、さぞかし痛快な思いをしたことでしょう。
若気の至りにしても程があると思いますが、バルドさんは多分怒るでもなくあくまで冷静にジルグさんから真意を聞き出そうとしたようです。
結局徒労に終わったらしいですが。
文人っぽく見えるジルグさんも所詮は軍人らしい体育会系の人なので、バルドさんが「理由なんか知るか!この馬鹿息子が!」というスタンスで一発ぶん殴って喝を入れていたら、あの冷え切った親子関係もまた違ったものになっていたのかも知れません。
バルドさんは多くを語る人ではないですし、多分ジルグさんからすると「偉大な父親」にどう接すればいいのかわからないところがあったと思うので。
主人公に「親父を超える将軍になれ!」と言われた時に、ジルグさんは初めて自分がどうすればいいのかわかったのだと思いますが、バルドさんとの溝を埋める間もなく主人公を庇って死んじゃうんですよね……。
バルドさんからするとどうしようもない馬鹿息子だったと思いますが、最期に他人を助けるために命を投げ出したその事実だけは誇ってあげて欲しいと思います。