一体どこを目指しているのか
「サムライフラメンコ」という正義の味方になった正義(まさよし)さんというお兄さんと、あまり正義感のない後藤さんというお兄さんのW主人公を通して、「ヒーローとは何か」を描くアニメなのですが、なかなか面白いですね。
「小さい悪と戦ってレベルを上げれば、巨悪とも戦えるようになるに違いない」と、「おいおい、RPGじゃないんだから」とツッコミを入れざるを得ない発想の元、酔っ払いのようなスケールの小さい相手に毎度全力で向かって行くのはいいものの、最初は中学生にボコボコにされるくらい弱いというヒーローらしからぬヒーローですし(笑)。
しかし実力は伴っていないものの、社会のルールやマナーを守ることが正義だと考える彼の言うことは正論で、夜遊びしている中学生に向かって「他人に迷惑を掛けるな!迷惑を掛けるならまず親に掛けろ!それが君達を本気で心配してくれる唯一の人間だからだ!」というような台詞を言い放った時には「おおお、いいこと言ったなあ」と深く感心したものです。
脚本家さん、いいセンスですね。
個々のエピソードも上手く作られていて、「サムライフラメンコ」は正義さんのおじいさんが「孫にこんな大人になって欲しい。こんな男になって欲しい」という願いを込めて作ったオリジナルのヒーローだという事実が明らかになるシーンは胸熱で泣けました。
おじいさんのネーミングセンスのなさが凄く残念な感じですが、「サムライフラメンコ」として頑張っている正義さんの姿に感化された後藤さんなど、応援したり手助けしたりしてくれる人も出てきたり、地道なトレーニングの結果戦闘力もアップしたりと、名実共にヒーローとなっていく訳ですが、7話で見せたまさかの展開が急過ぎて「ええええええー」しか言えません。
てっきりショッカーみたいな悪の軍団はいない世界観だと思っていたのですが、何故か何の伏線もなくいきなり怪人が出現して死傷者が出る始末。
いくら鍛えているとは言っても、並みの人間ではとても太刀打ちできそうにはないですが、8話からは正義さんがヒーローらしく超人的パワーを発揮して怪人を倒したりするヒーローものになってしまい、かなり面食らいました。
多分頻繁に怪人と戦う内にそれが当たり前になって罪悪感が薄れたり、自分を見失ったりするというヒーローのお約束を描きたいのだろうと思いますが、わざわざ怪人を絡めなくても描けたんじゃないかなあというのが正直なところです。
初めから悪の組織がいるという前提で話を進めてもらえていたらまだ良かったのだろうと思いますが、よくあるヒーロー物そのものになってしまうと、面白さの落差が滝のように大きいんですよね。
着想はいいのに、凄く勿体ないなあと思います。
どこへ向かっているのかよくわからない感じになってきてしまいましたが、今後の巻き返しに期待したいです。
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