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きっかけはロケット

池井戸潤さんの小説原作のドラマ・『下町ロケット』を毎週見ていたのですが、先日遂に最終回を迎えてしまいました。

脚本があまり面白いと思えなくて普段日本のドラマはほとんど見ない私ですが(そのため同じく池井戸さん原作の『ルーズヴェルト・ゲーム』と『半沢直樹』のドラマも見ていません)、佃製作所という真面目に頑張る中小企業が尊大な大企業や姑息な同業他社達に一泡吹かせていく痛快なストーリーが面白くて、見終わった後にはいつもテンションが上がってなかなか眠れない程でした。

佃社長役の阿部寛さんのファンだったので、見ようと思いつつ放送開始の日時をチェックし忘れていたおかげで、残念ながら1話と2話は見逃しましたが(笑)、非常にわかり易い勧善懲悪ものだったので、途中から見ても割とすんなりストーリに入って行けたので良かったです。


原作でどのような書かれ方をしているのかわかりませんが、少なくともドラマでは佃製作所の皆さんは佃社長を始め、基本的に善人キャラばかりなので、ともすれば薄っぺらい感じになってしまっていたと思いますが、強い信念や熱い思いからくる台詞に重みがあって、その人間性にとても好感が持てました。

最終回はちょっと駆け足の感があって、ラストの盛り上がりがやや足りなかった気がしますが、それでもやっぱり面白くて、見終わった後にとても充実感がありましたね。

前述の通り『下町ロケット』のドラマがとても面白かったので、実は今まで一度も読んだことがなかった池井戸さんの小説を読みたくなって、最近『ルーズヴェルト・ゲーム』を読みました(以下ネタバレありますので、ご注意下さい)。

青島製作所という中小企業が抱える弱小野球チームが、新しい監督の下で再生していくというストーリーなのですが、『下町ロケット』のように最後にはあくどい連中が散々な目に遭って、堅実に頑張っている人が勝つというパターンなので、読後感が爽やかで良かったですね。

敵対する会社とその野球チームに、青島製作所とその野球チームは相当苦しめられていましたから、「頑張れ!頑張れ!」と何度も心の中で応援しながら読んでいました。

作中で青島製作所の社員の皆さんが一丸となって野球チームを応援するシーンがあるのですが、あのシーンは自分もその場の人々に溶け込んでいるかのようで、とても一体感がありましたね。

最後の試合で勝負を決める一球が、因縁のある選手同士の対決でなく、割とあっさり終わったのはちょっと拍子抜けしましたが、実際にはそんな都合良く対決することはそうそうないと思うので、あれはあれでリアリティがあっていい気がします。

キャラクターもなかなか味のある人が多く、選手の表面的な成績ではなく、盗塁率や出塁率など、細かいデータを元に最大限選手の力を発揮させることを考える監督さんや、会長に退いても野球チームを温かく見守り続けている青島さんが好きでした。

個人的には、一番好きだったのは城戸さんという女性社長さんでしたが。

ビジネスをしている以上、利益追求を完全に度外視している訳ではないのですが、自分が提供するものの実際の価値とあまりにかけ離れた利益は必要ないと考えている節があったり、株式を所有している会社に価値があると思えば株を売らずに持っている選択をしたりと、一本筋が通ったところのあるかっこいい女性でした。

青島製作所の野球チームの素晴らしいプレイに心打たれて、自分の会社に野球チームを作り、行き場を失くした青島製作所の選手達の大半を引き受けてくれるとか、本当にやることが男前でかっこ良過ぎます。

期待していたものとは少し違ったエンディングでしたが、心が温かくなる良い結末でした。

この作品のドラマがどのようなものだったのかは見ていないのでわかりませんが、ドラマを見た方にも是非読んで頂きたいと思う作品でした。

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