英雄なんて碌なもんじゃない
この程『Fate/Zero』四巻全てを漸く読破しました。
原作者の奈須きのこさんではなく、虚淵玄(うろぶちげん)さんがお書きになったということで同人誌扱いだそうですが、装丁もちゃんとしていてかなり分厚く、まるっきり商業誌ですね。
虚淵さんはニトロプラスさん(パソコン用ゲームのソフトメーカー及びキャラクターデザイン事務所さんだそうです)のライターさんということでとても筆力がある方で、同人誌の枠を超えてオリジナルと共に『Fate』本伝と呼んでいい面白さでした。
さて、『Fate/Zero』では、『Fate/stay night』で主人公だった衛宮士郎(えみやしろう)君の義理のお父様である衛宮切嗣(えみやきりつぐ)さんが主人公なのですが、『Fate/stay night』で士郎君がそうしたように切嗣さんもまた聖杯と呼ばれる万能機を手に入れるために魔術師達とのバトルロイヤルに臨みます。
恒久的世界平和――その実現のために。
彼は誰かを救うために誰かを殺すという選択を繰り返して生きてきた人で、もう誰も死ななくてもいいように、全ての人を救えるようにと、そのことだけを考えて無慈悲に敵を殺して行きます。
そんな彼も昔は正義の味方に、英雄に憧れたこともあったのですが、つまるところそれが只の人殺しでしかないとわかった時に大きな挫折を味わいました。
で、ついつい英雄やその名に憧れる人、英雄という概念を生み出す構造そのものに反発してしまう訳ですね。
いつの時代も英雄が華やかな武勇譚で血を流すことの邪悪さをごまかすからこそ、人は幾度となく争いを繰り返す。
だからこそ人は戦いの愚かしさや醜悪さを認めて、禁忌としなければならないというのが彼の持論な訳です。
そこを読んでいた時にふと浮かんだのは、『FFⅦ』のクラウドでした。
彼は英雄という言葉が見せる幻想にまんまと踊らされて田舎から出て行って、結果果てのないような殺し合いに巻き込まれてしまいましたからね。
親友のザックスも英雄に憧れてソルジャーになって終いには命を落としてしまいましたし、何とも悲惨です。
『CRISIS CORE』でのザックスは、新羅が「世界を守るヒーロー」としてソルジャーを宣伝していたせいか、新羅の兵士として戦いに赴くことが正しいことだと信じて疑っていなかったようですが、一体何から世界を守っていたんでしょうねえ。
仮想的になりそうなものと言えばその辺を徘徊しているモンスターくらいしか思い付きませんが、そのモンスターの正体はクラウドやザックスがお勤めしている新羅という会社が人体実験の結果生み出してしまったものです。
つまり新羅は、飼い切れなくなったペットを放り出すどころではない無責任さと残酷さでその辺にモンスターを放していたという訳で、そこにお勤めしているザックスの正義なんてものはあっさり崩壊してしまうと思うんですが。
NovelのOther収録の『教会の花』では、エアリスがソルジャーを続けるかどうか迷うザックスを「やめちゃ駄目だよ」と励ましていましたが、本当は「やめた方がいい」と言わせたかったです。
そこでうっかりザックスに「じゃあ俺ソルジャーやめるわ」と言われてしまうとクラウドと会えなくなってしまって困るので、安全策を取ってエアリスにはザックスを応援してもらいましたが。
この間夢に出てきたエアリスは、もしかしてザックスを心配して私に何か言おうとしていたのかも知れません。
ちなみに夢の中にはちゃんとクラウドもいました。
もしかしたらザックスもいたかも知れません。
よく覚えていませんが。
ただ夢の最後に、携帯ストラップ(クラウドの服に付いている狼の顔が付いた銀色のプレートで、『ADVENT CHILDREN』のロゴが入っています)に、何故か横にもう一つ楕円形のストラップが付いていて、邪魔だと鋸か何かで一生懸命切断していたのはよく覚えています。
これは何を暗示しているのでしょうか。
あまりにも意味不明過ぎてさっぱりわかりません(笑)。
夢に詳しい方がいらしたら、是非とも教えて頂きたいものです。
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