『HELLSING』
途中でお風呂に入ってしまったので、一部のエピソードがほとんど見られなかったのが残念ですが、良作でしたね。
アーカードさんという並外れた強さの吸血鬼が、大英帝国と英国国教会を守る『ヘルシング機関』という組織のトップであるインテグラさんという女性に命じられるまま、吸血鬼や敵対組織の神父さんと戦いを繰り広げていく物語なのですが、「毒を以って毒を制す」で化け物を化け物にぶつけるというパターン自体に目新しさはないものの、個々の登場人物に魅力があってぐいぐいストーリーに引き込まれて行きました。
特にアーカードさん、いいですね!
頭部を失っても死なないような恐ろしげな存在でありながら、人を魅了せずにおかないような妖艶さもあって、素敵でした。
元々は人間だったのに妄執から吸血鬼になってしまった人なので、「化け物になるのは所詮その程度の弱い人間だ」だとか「化け物を殺せるのは人間だけだ」といった、人間ではない存在ならではの視点で人間を語る台詞にとても深みがあって良かったです。
どうやらずっと人間に殺されることを望んでいたようで、唯一自分を殺してくれそうだった神父さんが力尽きるのを目の当たりにした時に泣くシーンは胸に迫るものがありました。
いろいろあって一度は消えてしまったアーカードさんですが、ラストでインテグラさん達の元に戻ってきた彼は果たして幸せだったんですかね。
アーカードさん自身が望んだからこそ、三十年かかっても頑張って帰って来たのでしょうが、あの人にとって生きるって何なのかなあとついつい考えてしまいます(別に三十年間死んでいた訳ではなくて、他人に認識されない状態で存在し続けてはいたようですが)。
あまり幸せに生きている訳ではないのかも知れませんが、三十年も変わらず自分の帰りを待ち続けてくれる人達がいて、その人達の所に帰りたいと思える彼は少なくとも不幸ではないのでしょうね。
人間に殺されることこそが彼の一番の幸福なのでしょうが、できればずっと死なずに生き続けて欲しいです。
ストーリー終盤の「アーカードさんVS人間離れした神父さん」があまりに盛り上がったので、そこで終わらずにまだ続くと知った時には蛇足のように思えてしまったのですが、最後の敵が「吸血鬼になれるチャンスを蹴って、あくまで人間であることを望んだ男」というアーカードさんの正反対のキャラで、最後まで見終わった時には「ああ、これは蛇足どころか必要なエピソードだわ」と納得しました。
人間離れした神父さんもですが、このラスボスさんって、何だか嫌いになれないんですよねえ。
本人なりに信念に生きていて、筋が通っていますし。
言動がかなり酷かったりするので、かっこいいと賞賛する気にはなれませんが、かと言って否定する気にもなれないという、何とも味のあるキャラ達ですね。
インテグラさんを逃がして死んでしまうおじ様や、アーカードさんによって吸血鬼化されたセラスさんというお姉さんを庇って死んでしまった傭兵さんもかっこ良かったですし、とにかくキャラが素晴らしい作品でした。
血が派手に飛び散るなどの残酷なシーンも多いので、そういうものが苦手な方は避けた方が無難だと思いますが、耐性があって大人の男のかっこ良さが大好きな方には是非一度見て頂きたいです。
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