『吉井堂謎解き暦 姫の竹、月の草』
最近、浮穴みみさんの『吉井堂謎解き暦 姫の竹、月の草』というミステリー小説を読みました(以下、ネタばれありますのでご注意下さい)。
数馬さんと奈緒さんという血の繋がらない兄妹が、江戸時代を舞台に主に日常系の謎を解いていく物語なのですが、なかなか面白かったですね。
謎解きパートも良かったですが、血の繋がらない兄と妹が互いに惹かれ合いつつも、複雑な出生故にお互いただ側にいることしかできない関係が、何とももどかしくて切なくて、読み応えがありました。
しかし、「血の繋がらない兄と妹が一つ屋根の下に暮らしてる」というこの設定、何だかラノベみたいだなと思ってしまったのは、私がラノベ脳だからでしょうか(笑)。
文章も全然ラノベちっくではありませんし、兄と妹でどきどきえっちなイベントがあったりする訳ではないのですが、最早ラノベでよくある設定の一つと言っても過言ではないくらい、「血の繋がらない兄と妹が一つ屋根の下に暮らしてる」というのはラノベ界でありふれた設定な気がします。
「血が繋がってないとはいえ、妹に惹かれてしまうなんて……!」という背徳感が人気なのだろうと思いつつも、個人的には良さが全然わからず、しらーっとした目で見てしまうことが多いのですが、この作者さんは書き方が上手くて楽しんで読めました。
Wikipediaさんで調べても作者さんの性別は書いてなかったのですが、多分この方女性なんでしょうね。
プラトニックに徹する愛って、なかなか男性には魅力的に書けない気がします。
単純にミステリー物としても楽しめますが、禁断の兄妹の恋愛物語としても楽しめるという、なかなかお得感のある一冊でした。
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