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『土漠の花』と『機龍警察』

少し前に、月村了衛さんの『土漠の花』という小説を手に取りました。

ソマリアに派遣された陸上自衛隊員の皆さんが、墜落したヘリの救援に行った折、とある氏族に命を狙われているアスキラさんという女性を助けたことから一緒に逃げる羽目になり、命懸けで自衛隊の活動拠点を目指すという物語なのですが、スリリングでとても面白かったです。


魅力的な登場人物が多くて、ただ守ってもらうばかりでなく、自らも銃を取って戦うアスキラさんという女性が一番好きでした。

アスキラさんはとても強い人で、一緒に逃げてきた仲間が目の前で殺されてしまっても心折れることなく、一族を復興するという決意を胸に戦い抜くところが、とてもかっこ良かったです。

恥ずかしながら月村さんの本を拝読したのはこれが初めてだったのですが、Wikipediaさんによると、昔話題になったアニメの脚本家さんをされていたということで、「道理で読み応えがある訳だ」と物凄く納得しました。

『土漠の花』がとても良かったので、デビュー作の『機龍警察』シリーズも一通り拝読してみたのですが、こちらもとても面白かったです。

内容は大人向け巨大ロボットアニメ風で、オープニングから巨大ロボットを使った犯罪が発生し、巨大ロボットに乗った警察が出動するという、「THE 警察が運用する巨大ロボットアニメの第一話」な感じでしたし、最大のピンチで巨大ロボットがモードチェンジするというお約束もばっちり押さえてあったので、巨大ロボット好きな方には是非ともオススメしたいですね。

割合的には地道な捜査のシーンの方が多いので、「とにかく巨大ロボットが大好きで、それだけ見たい」という方には少し物足りないかも知れませんが、「大人な雰囲気のロボット物が見たい」という方にはピッタリだと思います。

最初は「ちょっと取っ付き難い感じの人が多いなあ」と思いながら読んでいたのですが、それぞれのキャラクターの生い立ちや内面がわかってくると、次第に愛着が出てきて、ユーリさんというロシア人男性が一番のお気に入りになりました。

綱渡りで辛うじて生き延びてきた感じの、苦労や悲しみの多い人生を送りながら、それでも優しさを忘れないあの姿を見ていると、無性に応援したくなるんですよね。

辛い思いをした分、これからは幸せになって欲しいなと思います。

ちなみに『機龍警察』はコミカライズ版もあるようなので、「小説を読むのが苦手」という方は、是非そちらをお手に取ってみて下さい。

辛いことや悲しいことがたくさん起こりますが、基本的にラストは毎回「ああ、良かった」と思わせてくれるので、とても満足度の高い読書ができると思います。



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