声優業界の今後が心配
私に心配されるとは声優さん達も心外でしょうが、最近弟と心配だなあという話をしました。
弟に言われて気付いたのですが、今アニメなどでおじ様の声を当てていらっしゃるベテランさん達が引退してしまったら、誰がおじ様の声を当てるのでしょうか。
これからもスポットライトを浴びる男性新人声優さんはたくさんいらっしゃるでしょうが、女性声優さんに比べると圧倒的に数が少ないんですよね。
子供から老婆、果ては少年まで演じられる女性と違って男性は役幅がどうしても狭くなりがちな上に、役をもらえる人がいつも同じ傾向にあって、少ない役を奪い合っているような状況でしょうから、なかなか新人さんが入る隙がないのだろうと思います。
まあ、主役系の人がいなくなって困るという事態に陥ることはないでしょうが、やはり問題はムキムキだったり、渋かったりするおじ様です。
売れている男性声優さんは大抵いつまで経っても声がお若い上に、思いっ切りアニメ声だったりするので、おじ様の声を当てるには明らかに不向きなんですよね(笑)。
声というものは使っているとほとんど衰えないものらしく、極端な話代替わり前の『ドラえもん』ののび太君のようにおばあさんが少年の声を出せたりもする訳ですが、単純に考えると早くからあの業界に入った方はいつまでもそのお若い声をキープし続ける可能性が高い訳です。
年配の男性を演じられる声優さんはあまり増えそうになくても、ベテランさん達はいずれ引退していくので、アニメだけでなく洋画の吹き替えもとても心配なのです。
ムキムキマッチョなおじ様から、十代の少年のようなかっこいい声が聞こえてきたら、どんなシリアスな話でも忽ちコメディに早変わりですよ(爆)。
以前テレビで『タイタニック』を見た時に、悲劇のヒーローであるところのジャックの声が石田彰さん(『機動戦士ガンダム SEED』のアスラン・ザラ役など)で激しく違和感を覚えたのですが、あれなんてまだいい方でしょうね。
いかにもアニメアニメしいオーバーな演技という訳ではなかったと思いますが、如何せん声質がアニメ向きな方なので、どうしても違和感がありました。
まあ、洋画の方はまだ俳優さん達がどうにかして下さりそうですが、深夜アニメなどは作品の傾向上余程理解がないと出演して頂けない気がするので(笑)、アニメの方がより危機的状況に置かれている気がします。
今のところ「この人は凄い!」と感心する程の新人さんも見受けられませんしね。
最近の声優さんは似たような声質の方が多くて、そこもちょっと残念です。
せめて若本規夫さん(『サザエさん』のアナゴさん役はあまりに有名)のように、自分が役になり切るのではなく、役を自分に引っ張ってくるくらいのパワフルな演じ手さんが育っていたらいいのですが。
少年から二枚目青年、おじ様まで演じられる大川透さん(『鋼の錬金術師』のロイ・マスタング役など)や、アニメ的演技で少年を演じていたかと思えば洋画でナチュラルな大人の女性の演技を披露したりする朴璐美さん(『鋼の錬金術師』のエドワード・エルリック役など)など、「この人こんな役もできるんだー!」と驚かせて下さる方もいらっしゃいますが、そういう方は少数ですし。
二枚目や美少女をそつなく演じられる方は結構多いですが、それだけではちょっと物足りなさを感じてしまうんですよね。
現在ご活躍の皆様にも、これから声優さんを目指される皆様にも、声優業界のますますの発展のために今後とも精進して頂ければと思います。