刑事ドラマのお約束
最近東野圭吾さん原作の『新参者』のドラマをDVDで見ました。
とある殺人事件の被害者の身辺を当たって小さな謎を解く内に、事件解決への手掛かりが浮かび上がってくるという構成なのですが、捜査を通して出会う人々とのやりとりが泣けるミステリーで、謎解きにプラスアルファの面白さが加わっていましたね。
主演の阿部寛さんが好きだったこともあり、テレビで放送されていた時にちょくちょく見ていましたが、肝心のラストを見逃してしまって犯人や動機が分からず仕舞いだったので、やっとすっきりできました。
しかし『新参者』に限らず刑事ドラマを見ていてしばしば思うのですが、犯人の皆さん正直ですよね(笑)。
今回の場合、犯人が凶器も犯行現場にボタンを落としたコートも処分していて物的証拠が何もなく、犯人が被害者の死亡推定時刻に現場にいたことを証明できた訳でもなく、ただ辻褄の合わないことを指摘しただけなのに、わざわざ自白していましたし。
まあ、家族を持ち出して情に訴えるという手を使ってはいましたけどね。
刑事ドラマでは往々にして情に訴えるという手に出るまでもなく、辻褄の合わない事実を指摘された時点であっさり観念して語り始めるパターンが結構見られますから、それに比べればまだ納得できる展開ではあります。
しかしこれって家族と不和な人とかあまりに自己中心的な捻くれた性格の人だと使えない手なので、犯人がそういう人だったらどうしていたのだろうと思わずにはいられません。
尤も相手が人間である以上、家族に限らず何かしら付け入る隙があるでしょうから、警察の特権を活かして弱味を握り、脅迫めいた真似をするというのも一つの手だとは思いますが、そういった刑事さんは見たことがないですねえ。
犯罪者を逮捕するためなら、自ら犯罪すれすれないし、思いっきり犯罪行為に手を染めるダークヒーロー……。
捜査段階で厳密に言うと違法行為をしている刑事さんはいますが、犯人を逮捕する段階でそういうことをする人は見たことがない気がするので、やったら結構新しい気がしますが、人気が出るかというと微妙な気もします。
ドラマでは見ないまでも実際刑事さんが問題のある取り調べで自白を強要するケースもありますから、ある意味リアルな感じにはなりそうですが、そんな夢も希望もないリアルさに需要があるとは思えません(笑)。
物語に説得力を持たせるにはある程度のリアルさが必要ですが、無暗にリアルさを追及すればいいというものでもないのだろうなあと思った今日この頃でした。