のぼうの城
和田竜さんの小説を原作とした同名の映画が現在公開中です。
決してフットワークが軽いとは言えない私にしては珍しく、公開後間もなく観に行って来ました。
実は私、主演の野村萬斎さんのファンなのです(笑)。
「でくのぼう」を縮めて「のぼう様」と呼び親しまれている成田長親(なりたながちか)が、わずか500(農民を入れても2000程度)の手勢で石田光成率いる20000の軍勢に戦いを挑むというストーリーなのですが、のぼう様のキャラがとても魅力的で良かったですよ。
運動が大の苦手で馬にも満足に乗れず、実の親に全く期待されていなかったところを見ると勉強ができる訳でもないであろうのぼう様ですが、身分に拘らない気さくな人柄のおかげで大変人望が厚く、その人望と機転で領民をまとめていく様が面白いです。
特に、領民の士気を上げるために檄を飛ばすのではなく「父上は降伏しろと言ったのに、俺が戦にしてしまった! ごめん!」と言って泣き出し、領民に「これは何とかして励まさないと!」と思わせてやる気を出させるというのは斬新だなと。
優れた能力を発揮して他人を引っ張っていくタイプとは真逆の人ですが、あまりにも頼りないと「この人は俺達が助けてやらないと駄目なんだ」ということで、却って周りの人は頑張って盛り立てようとするものなのかも知れません。
まあ、決して頭は悪くないようなので(本当に馬鹿だったら、ああも見事に人心を掌握することはできないでしょう)、全くの無能という訳ではないようですが。
「能ある鷹は爪を隠す」と言いますが、のぼう様の場合は敢えて能力を隠しているというより、単にやる気がなかったとか今まで機会がなかったとか、そんなところなのではないかと思います。
のぼう様は当主の従弟で、基本的にNO.1になれる人ではありませんからね。
NO.1がのぼう様のようなタイプだと流石に領民の皆さんも不安になりそうな気がしますが、NO.2なら「ああいう人がいてもいいよね」と温かい目で見てもらえるところもあるのかなと思ったりする、今日この頃でした。