『Vivy -Fluorite Eye`s Song-』
SFと言うと、「設定が小難しくて取っ付き難い」というイメージを持たれる方も多そうですが、この作品のSF要素は高度なAIが出て来る程度のものなので、普段SF作品に馴染みのない方でも見易いのではないでしょうか(むしろハードSF好きな方には、ちょっと物足りないかと思います)。
「ヴィヴィが戦争を防ぐことができるのか」という本筋も勿論見どころではあるのですが、「歌で人を幸せにすることを使命として生まれて来たヴィヴィが、真に人を歌で幸せにできるのか」というのも見どころの一つで、只の歴史改変物でないところに、とても見応えを感じます。
人に存在意義を与えられた存在が、己の存在意義についてあれこれ思いを巡らせるというのは、SF作品では割とよく見るパターンなので、これが本筋だったら些か退屈な印象を抱いたかも知れませんが、ヴィヴィが変わることは戦争が起こる未来が変わる可能性に繋がっていると思うので、ある種の緊張感を持って物語を見守ることができているところが上手いですね。
「心を込めるとはどういうことなのだろう」と考えたりするヴィヴィの姿を見ていると、「心とは何か」ということを描き出そうとしているのかなという気がするので、決して目新しくはない結論に辿り着くことになるのかも知れませんが、できれば今まで見たことのない斬新な結論を見てみたいです。
これだけ予想を超えて来る脚本が書けるなら、きっと期待に応えてもらえる気がしますし、もしSF好きでまだ見たことがないという方がいらしたら、是非ご覧になってみて下さい。
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