『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』
Wikipediaさんによると、ビブリオバトルというのは京都大学から広まったもので、
1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
2.順番に一人5分間で本を紹介する。
3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う。
4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする。
というルールの元に、参加者が競い合う知的なバトルらしいです。
小説の中では発表終了後に行うのはディスカッションではなく、発表された本に関する質疑応答だったので、実際のバトルとは少し違っていたのでしょうが、ビブリオバトルというものを知らなかったので、とても興味深く読めました。
作中でビブリオバトルを行うのは高校生達なのですが、とにかくSF大好きな子とか、オタクで腐女子の子とか、ノンフィクション押しの子とか、なかなか個性豊かな子が揃っているおかげで、オススメしてくる本がバラエティーに富んでいて、そこがまた面白かったです。
本が物語の中で重要なアイテムになっているので、読み進めていく内に「言論の自由とは云々」と高校生らしからぬ台詞がポンポン飛び出してきた時にはびっくりしましたが、「批判していいのは批判される覚悟がある奴だけだ」という話をしていた時に、「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」という『コードギアス 反逆のルルーシュ』の台詞を引用していたところに思わずニヤリとしました(笑)。
作者の山本さんはかなりSFがお好きなようですから、きっと『コードギアス 反逆のルルーシュ』もリアルタイムで見てらしたんでしょうね。
私も巨大ロボット物とか結構好きなので、毎週楽しみに見てました。
理系どころか思いっきり文系な私ですが、巨大ロボットにどんな理論が使われているのか、見比べてみると結構特色があって面白いですし、命を懸けたやり取りの緊迫感や散っていく命の儚さとか、ドラマちっくでわくわくします。
個人的には巨大ロボット物で一番面白いアニメは弐瓶勉さんの『シドニアの騎士』だと思うので、どうせなら『シドニアの騎士』にも触れて欲しかったなと思いますが、続編では出てくるんですかね?
もしまだ出していないなら是非とも触れて頂きたいです。
あれは本当に面白いので。
私はSFというジャンル自体は結構好きなのですが、翻訳文学を読むのがあまり好きではなく、外国のSF作品はほとんど読んだことがなかったのですが、SF好き女子が本当に楽しそうに外国のSF作品について語っているのを見て、今度外国のSFも読んでみようかなと思いました。
たまにSFを読みたいなと思っても、SF書いてる日本人作家さんってあまり数が多くない気がしますし、ライトノベルもファンタジーばかりでSFはあまりないですしね。
作中に出て来たSF作家さんも大半は外国の方で、やっぱり日本のSF作家さんって少ないんだなあと再認識させられました。
SF小説対象の新人賞だった小松左京賞も休止してますしね。
小松左京賞受賞作って結構好きな作品が多くて、わざわざ調べて読んだりしていたのに、休止すると知った時は本当に残念でした。
何とか復活してくれませんかねえ……。
ファンタジーって人間が過酷な運命に立ち向かう感じのストーリーが多い中、SFは人間が科学技術の発展によって生じた技術や問題を通して人間の醜さや愚かさ、悲しさに立ち向かう感じのストーリーが多い印象で、SFにはSFにしかない良さがあると思うのですが。
何はともあれ、久々に「やっぱりSFはいいなあ」と思わせてくれた作品でした。
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