『宇宙よりも遠い場所』
玉木マリちゃんという高校生の女の子が、母親が南極で行方不明になったことをきっかけに南極に行くことを目標にしている小淵沢報瀬(こぶちざわしらせ)ちゃんという女の子に出会ったことで、なかなか飛び出せずにいた外の世界へ出て行くべく、報瀬ちゃんと一緒に南極に行くことにして……という物語なのですが、なかなか面白いです。
次第に一緒に南極に行く仲間が増え、南極に行くための道筋ができていく中で、それぞれのキャラの内面が徐々に掘り下げられて行く構成がいいですね。
お母さんを探したい、外の世界に出たい、面白そう、仕事だから……それぞれの理由で南極を目指した女の子達だけでなく、南極観測に行く大人達にもいろんな思いやドラマがあって、ふとした時にほろりと泣きそうになります。
数年前に南極に行った観測隊の皆さんだけでなく、今程科学技術が発達していない時代に必死で南極を目指した人達もいて、その人達はどんなに大変で、南極に着いた時にどんなに嬉しかっただろうと胸が熱くなりました。
普段はあまり意識することはありませんが、人間の歴史はこうした行動力と情熱に溢れた人達の偉業の積み重ねでできているんですよね。
今の世の中、すぐに利益に結び付かないことは簡単に切り捨てられてしまいがちですが、分厚い氷をダイナミックに割りながら進む砕氷船の姿は、もうただただ凄いとしか言いようがなくて、あんな凄いものが見られるならそれだけで巨費を投じる価値があるんじゃないかとすら思いました。
作中では漸く南極に辿り着いたところなので、この先どうなるのかはまだわからないのですが、この調子で最後まで面白く魅せ切ってもらえたら嬉しいです。
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