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『人間の尊厳と八〇〇メートル』

最近、深水黎一郎さんの『人間の尊厳と八〇〇メートル』という小説を読んでいます。

ミステリーの短編集なのですが、表題の『人間の尊厳と八〇〇メートル』は第六十四回日本推理作家協会賞受賞作品で、流石の面白さでした。


バーで飲んでいた会社員の男性が、突然見知らぬ男性にお金や家の権利を賭けて、何故か八〇〇メートル競争をしようと持ち掛けられるというストーリーなのですが、どうして八〇〇メートル競争をしなければならないのかという理由付けに量子力学を持ち出してきたりする、ミステリーらしからぬところが斬新で良かったです。

落ちも綺麗に落ちてましたしね。

短編って枚数が少ないので、面白く読ませるのって結構難しいところがあると思うのですが、まず一風変わったタイトルで興味を引きにくるところからして上手いなと思います。

ところでこの作家さん、『人間の尊厳と八〇〇メートル』の次の『北欧二題』では一般的にカタカナで書くであろう外国の国名や人名を徹底して漢字で書いてルビを振っているのですが、一体何故なんでしょうね?

『人間の尊厳と八〇〇メートル』では、カタカナで「フランス」や「コペンハーゲン」と書いてあったので、ちょっと面食らったのですが。

「古斯塔夫」と書いて「グスタフ」と読むとか初めて知りました。

とても人名とは思えない漢字が並んでいて、何だか暴走族の落書きみたいだなあと(笑)。

「古」で「グ」と読むのはかなり無理があると思うのですが、「具」とかでは駄目だったのでしょうか?

余計に字面が悪くなるとは思いますが、人名に「古」というのもどうかと……相手が〇歳の赤ちゃんだったとしても名前に「古」の字が入っているというのは、なかなか滑稽な気もするのですが。

流石に内容よりも気になったとは言いませんが、読みながら「何でこんな字が当たってるんだろう」といろいろ考えてしまった次第です。




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