先日、2020年ノベル大賞準大賞受賞作・『ダンシング・プリズナー』を読みました(以下ネタバレがありますので、ご注意下さい)。
「演劇を通じての自立と協働を促す、劇場を兼ねた少年院」を舞台に、身に覚えのない父親殺しの罪で少年院へ送られた主人公が、仲間達と一緒に父親が殺された真相を突き止めるという一風変わったミステリーで、なかなか面白かったです。
トリック自体は単純なもので、容疑者の数も少なく、単純にミステリーとして評価すると、そこまで高い点数は付けられそうにない感じですが、舞台を特殊な設定の少年院にしたアイディアには感心しました。
演劇や謎解きを通して、ばらばらだった少年達が結束を固めていく青春物でもあり、ワクワクもさせて頂きましたね。
初めは斜に構えて、ツンツンしていた主人公も次第に他者に心を開き、過去に傷付いた経験があるらしい先生を思いやるまでに成長してくれますし、爽やかな読後感の物語でした。
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