『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を見ました
私は決してエヴァンゲリオンの熱心なファンという訳ではないのですが、テレビシリーズやこれまでの劇場版は一通り見てきたので、「最後はどうなるのだろう」と何の気なしに見てみたら、想像以上に良かったです。
とても有名な作品なので、いちいち説明せずとも『エヴァンゲリオン』という作品の大まかなあらすじ程度はご存じの方も多いでしょうが、ざっくり言うとシンジ君という男の子がエヴァと呼ばれる巨大ロボット（のように見える物と言った方が正確だと思いますが）に乗って、使徒という敵と戦うという物語ですね。
シンジ君と父・ゲンドウさんとの確執はテレビシリーズでも描かれていたものの、最終的に彼等の親子関係がどこに落とし所を見出したのか、よくわからないままに終了してしまった印象がありますが（まあ、単に私が忘れているだけかも知れませんが（笑））、劇場版ではかなりしっかり描かれていました。
今まで何を考えているのかよくわからなかったゲンドウさんのモノローグも、ここぞとばかりにたくさんありましたね。
私、ゲンドウさんって「奥さんにもう一度会うために、実の息子を死ぬかも知れない戦いに平気で送り出す冷酷な人」だと思っていたのですが、人と上手く付き合えない彼の不器用さや、そんな孤独な人生を送って来て出会った奥さんを心から愛していること、シンジ君を突き放したのは「自分が側にいない方がいいと思ったから」だったことなどを知って、随分印象が変わりました。
彼が愛し愛される喜びを教えてくれた奥さんを本当に大切な想っていたことが伝わって来て、思わず泣きながら、「こんなに愛した奥さんを失ったら、どんなことをしてでももう一度会いたくなるのもわかる」と深く納得した次第です（流石に目的のために手段を選ばなさ過ぎだとは思いますが（笑））。
奥さんを失った時、彼はシンジ君を突き放すのではなく、奥さんの忘れ形見のシンジ君の側を決して離れず、奥さんの分までシンジ君を大切に育てるべきだったのだと思いますが、彼は奥さんを愛し過ぎていた上に、親として未熟だったのでしょうね。
ゲンドウさんは「世界がどうなろうが、奥さんに会えればそれでいい」という感じの人なので、みんなを守ろうと立ち向かうシンジ君との和解には至りませんでしたが、シンジ君が自分の中にいたお母さんごとゲンドウさんを刺したのは、シンジ君なりの優しさだったのかも知れません。
あのままだと、ゲンドウさんはずっと最愛の奥さんを追い求めずにはいられない気がしますし。
ゲンドウさんは奥さんを、シンジ君はお母さんを、共に愛していたでしょうに、どうして家族が三人揃っていた頃の思い出を語り合いながら一緒に生きて行けなかったのか、とても悲しい物語だなあと思わずにはいられません。
ラストシーンのシンジ君は大人になっていたので、もうお父さんやお母さんがいなくても大丈夫なのでしょうけどね。
今までずっと少年だった彼が大人になることで、この物語は本当に終わったのだと実感しました。
シンジ君と共に戦ってくれた彼女達がその後どうなったかはほとんどわかりませんし、全ての謎が綺麗に解明された訳でもありませんでしたが、物語の大筋はきちんと決着しているので、個人的にはあまり気になりませんでしたね。
正しく、「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」という言葉がぴったりの作品だったと思います。
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