長年の疑問が解決
田中芳樹さん原作の小説を荒川弘さんがコミカライズされた『アルスラーン戦記』というアニメが放送中です。
CLAMP先生が田中さんの『創竜伝』(文庫版)のイラストを担当されていたことがきっかけで、『創竜伝』はかれこれ十年以上前から愛読していましたが、『アルスラーン戦記』はノータッチだったので、毎週続きを楽しみに見ています。
王都を敵に奪われたアルスラーン王子が仲間達と共に立ち上がり、両親と国を救うべく奮闘する物語で、これだけ書くと典型的な貴種流離譚っぽい感じなのですが、一味違うのはアルスラーン君のお父さんがかなり酷い人というところですね。
「アルスラーン君が勝ったら、この情け容赦ない人が復権するのかあ」と思うと、どうにもアルスラーン君を素直に応援できず、勝って欲しいような負けて欲しいような、何とも複雑な気持ちになります(笑)。
アルスラーン君自体は臣下の世話をしている少年に「友達になってくれないか?」と言うような、大変心の優しい良い子なんですけどね……。
心から応援できないことがちょっぴり切ないです。
ところで『アルスラーン戦記』にナルサスさんという、絵を描くのが大好きなのに絵の才能が全くない軍師さんが出てくるのですが、この人のこの設定が出た途端「やっぱりこの人だったのか!」と思わずにはいられませんでした。
実は『創竜伝』のドラマCDで、兄が歌が下手な弟を皮肉った「竜堂終の歌とナルサスの絵という諺を知らないんですか?」という台詞が出てくるのですが、『アルスラーン戦記』を読んでいなかったので、「ナルサスって誰?」とずっと思っていたのです。
「この先『創竜伝』に出てきたりするのかなあ?」と思っていたら、『アルスラーン戦記』のキャラだったんですね。
道理でいつまで経っても出ない訳です。
先の台詞は原作ではありませんでしたし、あれは脚本家さんのちょっとした遊び心だったのだなとやっと気付きました。
きっと元々田中さんのファンだったんでしょうね。
遅まきながらとても愛を感じた今日この頃です。