さらば宝条
2010年、今年も様々な著名人の方が亡くなられましたが、その中の1人に声優の野沢那智さんもいらっしゃいました。
私が野沢さんのことを知ったのは、『刑事ナッシュ・ブリッジス』という海外ドラマの吹き替えで主人公のナッシュを演じていらした時です。
「役になり切る」というよりは「役を自分の方に引っ張ってくる」ような、他の方には絶対真似できないであろう独特なテンポの台詞回しがとても印象的でした。
私、このドラマがとても好きなのですが、野沢さんのあの演技がなければ作品の面白さは随分減じていたと思います。
ユーモア溢れるナッシュの魅力を十二分に引き出す名演技でした。
それ以来野沢さんのお声を聞く機会がちょくちょくあったのですが、その中の1つに『DIRGE OF CERBERUS』の宝条役もあったんですよね。
彼は陰気にぼそぼそ喋るイメージがあったので、野沢さんの粘り付くような演技はイメージとちょっと違っていたのですが、あれはあれとしてアリかなと思いました。
聞いていると夏でもないのに不快指数が上昇するところなど、いかにも憎たらしい彼っぽいですし(笑)。
ですが、もし『FFⅦ』のリメイクが出てももう宝条の声は野沢さんではない訳で、それがとても残念です。
今後また何かの作品に宝条が出る時には、どなたが声を当てられるのでしょうか。
野沢さんの代わりを見付けることはできますが、しかし本当の意味で代わりになることはできないので、人1人の存在の軽さと重さを痛感していたりする次第です。
野沢さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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