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『民族学研究室の愁いある調査 その男、怪異喰らいにつき

第一回富士見ノベル大賞審査員特別賞受賞作・『民族学研究室の愁いある調査 その男、怪異喰らいにつき』を読みました。


民族学研究室に身を置く院生のお兄さんが怪異に命を狙われることになってしまい、生き延びるために「怪異を喰らう」という特殊能力を持つお兄さんと一緒に民族学的なアプローチから、怪異の正体を探っていくという物語です。

民族学の知識があれこれ書かれていて、いろいろと勉強になりました。

BL物という訳ではありませんが、主人公のお兄さんが怪異喰らいのお兄さんに惹かれている描写がちょこちょこ入るので、そういった雰囲気がお好きな方はより楽しめるのではないでしょうか。

私は「BLは嫌いではないにしろ、あまり積極的には読まない」という人なので、真性の腐女子の方に比べたら、私のセンサーなんてポンコツもいいところだと思いますが(笑)、それでも「これは腐女子さんにウケが良さそうだな」と反応したくらいなので、多分ハマる方は凄くハマるのではと思います。

オカルト要素のあるミステリーなので、ミステリー好きとしてはなかなか楽しめましたが、個人的には真相の意外性がちょっと弱いかなと感じたので、少し物足りない印象でした。

怪異喰らいのお兄さんの子供時代の悲しいエピソードにはちょっと泣けましたし、決してつまらなかった訳ではないのですが、「怪異を喰らう」という設定に既視感を覚えたせいか、もう少し読み応えが欲しかったなというのが正直なところです。

受賞作だけあって、きちんとまとまってはいるのですが、ちょっとまとまり過ぎてしまったのかなという印象の作品でした。







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