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『ユリエルとグレン(1) 闇に噛まれた兄弟』

石川宏千花さんの『ユリエルとグレン(1) 闇に噛まれた兄弟』を読みました(以下ネタバレありますので、ご注意下さい)。


吸血鬼に襲われて吸血鬼となったグレン君と、グレン君の弟でいくら吸血鬼に血を吸われても死なない「無限の血」を持つユリエル君が、グレン君を人間に戻す方法を探して旅をする物語です。

グレン君は12歳の外見のまま年を取りませんが、吸血鬼になっても人を襲ったりすることなく、時々ユリエル君の血を分けてもらうことで生き長らえていますし、ユリエル君がいてくれるならただ生きていくだけならグレン君は困りませんが、やっぱり問題はそこではないんですよね……。

吸血鬼となってしまった人を人間に戻す方法が本当にあるのかもわからない状況で、互いだけを支えとして旅を続ける二人の姿が何とも切ないです。

吸血鬼は最早題材として使い古されている感がありますが、この物語の人の血の味を覚えてしまった吸血鬼は麻薬中毒患者のようなもので、最終的には破滅の道しかなく、恐ろしい反面悲しい存在として描かれているところが印象的でした。

グレン君達はひょんなことから、吸血鬼が出没するという村で吸血鬼探しをするのですが、疑わしい人達に会って吸血鬼を探すところにミステリー要素もあって、なかなか面白かったですよ。

ジャンル的には児童文学なのですが、大人が読んでも十分楽しめます。

と言うか、子供が読んでもあまりピンと来ないところもある気がするので、むしろ大人の方に読んでもらいたい作品だと思います。






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