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『Twelve Y.O.』

先日、福井晴敏さんのデビュー作にして、第44回江戸川乱歩賞受賞作の『Twelve Y.O.』を読みました。

優秀なパイロットでありながら事故のトラウマで飛べなくなってしまい、仕事への情熱を失っていた自衛官募集員の平(たいら)さんというおじさんが、何年も会っていなかった知人と再会したことをきっかけに巨大な陰謀に巻き込まれていくというストーリーで、面白かったです。

米軍が沖縄から撤退することになり、そのきっかけを作ったのが『トゥエルブ』と名乗る謎めいた男性なのですが、話が大き過ぎて只の荒唐無稽な物語になってしまいそうなところを、この国の在り方や他国との関係などを上手く絡めて説得力ある仕上がりにしていたところが流石でした。

ジャンル的にはミステリーなのでしょうが、池井戸潤さんの『下町ロケット』のようなお仕事ものといった印象の方が強かったですね。

上からの命令に従うだけだったおじさん達が奮起して、自分の身が危なくなっても人を救おうとする姿が熱かったです。

特に、トラウマから飛べなくなっていた平さんが、人を救いたい一心で自らヘリを操縦し、再び空へ上がるシーンは感動的でした。

ほぼ丸腰に近い状態で敵を倒すため、素人でも難しいとわかる軌道でヘリを操って見せた平さん、凄くかっこ良かったです。

最後は悲しくも希望のあるエンディングでしたし、謎解きあり、アクションあり、人間ドラマありと、盛りだくさんな内容で、とても楽しめました。

福井晴敏さんの小説を読んだのは初めてだったのですが、他の作品も読んでみたいなと思います。





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