『この世界の片隅に』
物語はすずさんという絵が得意な女の子の幼少期から始まり、成長したすずさんがお嫁に行って、婚家で戦争を生き抜く辺りがメインで描かれています。
女性のすずさんは戦地に行く訳ではないので、義理のお姉さんに意地悪されたりしつつも基本的に平穏な日常生活を営んでいるのですが、いきなり戦闘機が飛んできて空中戦が始まるシーンでは平和な日常があっという間に戦場に様変わりしてしまうことに言いようのないショックを受けて、思わず泣いてしまいました。
見ているだけであれだけショックだったのですから、当事者の人達はどれだけショックだったのでしょうか……。
ショックと言えばすずさんが右腕を失くしてしまうシーンもすごくショックで、やっぱり涙が出ましたね。
あんなに上手に絵が描ける手が失くなってしまうなんて本当に残念で、辛かったです。
しかも義理のお姉さんの子が命を落として、すずさんだけ助かるという展開だったので、余計に見ていて辛かったですね。
兵隊同士が殺し合うシーンが出なくても、戦争の怖さや悲惨さがよく伝わってきて、とてもいい作品だと思いました。
終戦を知ったすずさんが「これでやっと平和になる」と喜ぶのではなく、「どうして戦争をやめるんだ!」と声を荒げるシーンもとても印象的でしたね。
腕や身内を犠牲にしてまで続けてきた戦争が、納得できない形で終わる。
自分が生き残ってしまう。
その事実に直面した時、人はなかなか喜べないものなのだろうなと思います。
戦争物なので、この映画を見ながら流した涙は悲しいものばかりでしたが、ラストですずさんと旦那さんが戦争で母親を亡くした子供を家に連れ帰り、家族のみんなが優しく子供を迎える姿を見て、とても温かい気持ちで涙を流すことができました。
戦争が終わったばかりで余裕なんてないでしょうに、みんないい人達ですよね。
素敵な物語をありがとうございました!
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